第一回 身体0ベース運用法研究会 <触覚地形地図 #01>報告



第一回目の0ベース研究会は<触覚地形地図#01>を実施しました。このトレーニングは足元の地形を足裏の触覚によって理解し、それを視覚情報へと変換させることを行います。それによって人が日常的に生活する人工的な地形の中でも自然の地形の中に身をおいたときに発見できる身体技法の修得を目指すものです。



実施内容


今回はの3名の参加者は初めてこのトレーニングを体験するため、前後半に分けてじっくりと内容を確認するように屋内と屋外で実施しました。雨が降ったり止んだりする天候の中だったので地面が濡れていたり、水たまりがあったりするなど晴れの時とは異なる触覚の風景を体験することができました。



日時 :2018年11月9日(土) 13:00〜15:00

会場 :凸倉庫

参加数:3名

参加費:無料



【前半】

1)屋内にて石や木、ロープなどといった異なる形状や質感を持つものを足で触れていく。2)1つのオブジェクトを選び、じっくりとそれに触れる。

3)オブジェクトの触覚をイメージとして視覚化する。






【後半】

4)屋外を裸足で歩き、人工的な地形に触れる。

5)触れているものを視覚で確認することによって視覚と触覚の情報を統合させる。

6)触れているものを見ずに歩き触覚情報を視覚イメージへと変換する。

7)屋内にて歩いたルート上にあった触覚の記憶を視覚情報として描く。







まとめ


2017年1月9日のニュースイッチ日刊工業新聞に「VRの触覚研究、次は足の裏」という記事が掲載されていました。記事によるとVRでの触覚研究は競争が激しく、すでに企業での事業段階を迎えているため研究はこれまでの手や腕から次は足の裏へと広がり、研究者は普段は意識されない足裏の機能を拡張しようと奮闘しているそうです。


例えば、爪に振動を与えると反対側の指の腹側で触覚を感じる現象を利用した「振動スリッパ」は「グッグッと新雪を踏み抜く心地よさを表現できるというものです。またこの研究では振動を提示すると歩行中の重心のブレを抑えることが発見されたそうです。


この振動による重心バランスへの効果は以前私が受講した身体研究者甲野陽紀(こうの はるのり)さんの講座で教わった身体技法と関係があるではないかと思います。それは腰をかがめて物を持ち上げる際に両足をつま先を支点にして踵を左右に動かして擦りながら上げていくと、そうではない時と比べて楽に持ち上げられるというものです。

「一動作一注意」。1つの動作に対して1つの注意を持つと安定するが、注意が2つ以上になるとバランスを崩すという理論です。振動はこの「一注意」の役割を果たしているのではないかと思います。前者は受動的に外部から振動によって注意を与へ、後者は能動的に擦ることによって自ら作り出しています。


この2つが行なっていることは足裏の触覚機能を生かした「技」です。今回の研究会で私が行なった「触覚地形地図」が求めるところはそれとは少し異なるプロセスから「技」を修得することにあります。それは目的を達成するための「技」だけでなく、それに付随する触覚の景色を見ることにあります。それができるようになった結果「技」が自然と生まれることを目指しています。


今回のトレーニングで重要なのは触覚で得た情報を視覚化することです。それによって足とそこから遠く離れた頭を触覚で繋げていきます。これを繰り返すことによってそこに感覚の道が開かれていきます。そうすると裸足でなく靴を履いていようと足裏に「振動」あるいは「一注意」と同じようなものが生まれ、<体の移し方>としての「技」を習得することがでるのです。


明快に「技」の意味を伝えるには正解としての分かりやすい体験や数値としての分析結果を見せることが理解を得やすいものになると思います。しかし、それは無数に散らばる身体の宇宙の星々に星座を描くのと同じようなことになってしまいます。そうなれば結ばれた一部の星にだけ意識が向き、その近くに小さく輝く星々を見過ごすことになってしまいます。ゆっくりであっても先人が作った星座を忘れ、そこに自分の手で線を引いていくことを行なっていきたいと考えています。

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